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2008年11月 1日 (土)

ツアー登山

この闘病生活(というほどではないが)になってから記憶にある限り初めて風邪らしい風邪をひいた。薬箱の風邪薬を探してみたが、どれもこれも消費期限が2006年なので、ボーッとした身体を引きづりながらドラッグストアへ行く。さすがに季節柄、かぜ薬コーナーは品揃えが充実。選択の視点は価格と、なるべく消費期限が長いものだった。お陰で昨日、本日と行く予定であった裏丹沢の山行は大事をとる。
閑話休題~~~先日初めてツアー登山なるものに顔を出した。実態を知りもせずに「ツアー登山は危険」とは言えない。まだ一度だけの経験ではあるが、感じたことを整理してみる。
・旅行業法に基づくため、主催者側から余程のことがない限り中止はしない(とのこと)。
 つまり中止となると代金をお客に返さないといけないわけだ。
 台風が接近している場合でも、この判断は微妙らしい。
 どういう時に中止にするかなどのマニュアルが企業によっては未完だという、やはり恐ろしい実態も存在する。
・ガイドレイシオ(ガイドとお客の比率)はガイド協会のそれとはあまりにも異なる。17人までは1人の添乗とのこと。
 実際、添乗が1人ならば先頭を歩くため、一番後方のお客がいなくなってもわからない。
 通常のパーティ登山なら、一番弱い人が2番手を歩くのが常識だが、弱いお客ほど「私は遅いですから、どうぞお先に」と言って最後には一番ラストを歩くことになりがち。
・お客側は「バスで行けるから、乗り継ぎとか待ち合わせとか面倒なアクセスを考えなくてよい」
     (特に主婦の方は)「山に行くには家族の理解が必要。大手の旅行会社なら主人も「そこなら安心だ」と言ってくれる」
     (山岳会などには入らないのですか?の問い合わせに対して)「それってどんな団体なのですか?NPOとか?」
装備は皆さんしっかりしたものを身につけているが、どうもほとんどが「旅行」視点であり、山岳界を存じ上げないようである。
またツアー登山では当然ながら、山の歩き方など基本的なことを教えてはくれない。
登山の玄関口は今、変化している現状を改めて思い知らされた。以前、玄関口は山岳部や山岳会であった。そこで歩き方、計画の立て方、地図の読み方、天気の読み方、パーティシップ、リーダーシップ、トラブルの対処法、記録の書き方を教わることができた。しかし今の玄関口は、旅行会社や自我流が、組織加盟登山者の約70倍ではないかと思われる。
僕はやはり山岳会やハイキングクラブの社会的役割は、このような玄関口になることと育成義務があることだと思う。後進に教えることができなくなったり、教える人がいなくなったら、もうそれは山岳会ではない。また、教える環境(方向性、社会的使命、教育計画など)を保持したり、教えることができるレベルの人がその組織に留まれるような環境維持を行うのは、その組織の長の責任だ。だから山岳会の長は大変なのである。何よりも山岳界の中における使命感がなければ自分を見失ってしまう。
ガンバレ!山岳会、ガンバレ!ハイキングクラブ クライミング、ボルダリング、山ボーダー、トレイルランなど個々で完結できるジャンルは多様化しているけど、登山の玄関口はやはりそういった組織だよ。

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